Brand New Morning
-聖都ウェンデルへ-
滝の洞窟はじめじめとした空気が漂っていた。滝があるのだから仕方ないが。
、デュラン、アンジェラ、シャルロット、リースの5人はがやがやと談笑しながら洞窟内を進んでいった。
モンスターが出てくればデュラン、、リースが前に出て迎え撃った。
「デュラン強いね。」
「こそ!フレイルの扱いが手馴れてるな。」
「ありがとう。…でも、武器は変えようと思ってる。」
「なんで?」
「お兄ちゃんの能力に頼らないで頑張ろうと思って。」
デュランがあ、とばつの悪い顔をした。兄に関わるような話をしてしまって、後悔をした。
だがそれを見かねたは慌てて笑顔で「気にしないで!」と言った。
「変に気を使わないでよ。仲間なんだから、ね、ね!」
「お、おう。…面白いな、は。」
「面白い?初めて言われた。…ありがとう。デュランはいい人。」
照れ笑いを浮かべてはにかんだ。今まで兄ばかり評価されていて、いつも自分は蚊帳の外。
だから自分の良い所なんて知らない。知っているのは全部悪いとこ。だからこそ、自分について
教えてくれたデュランにとても感動したのだ。
「…あ、見てください。滝ですよ。」
リースが指差した先には、音を立てて断続的に落ちていく水。アンジェラが見慣れぬ風景に「ほおー。」
と声を上げる。も見慣れない滝に興奮を覚えた。入り口で見たのは、内側からの極一部の光景。
ここは全貌を見渡せるのだ。上を見ても下を見ても落ちていく水。単純には感動した。
「凄い…。」
「あたしはじめて見たわ。」
「私も。凄い迫力なんだね。」
アンジェラと口をぽかんと開けて眺めていると、デュランから「凄いアホ面だぞ」とツッコミが入った。
「さきをいそぐでちよ!」
しめのシャルロットの一喝に、二人は渋々と進み始めた。アンジェラとは身を寄せ合い、
もっと眺めてたかったね…。とぼそぼそ呟きあった。リースはそれを苦笑いを浮かべて見守りながらも
いつモンスターが出てきてもいいように気を引き締めていた。
「お、出口だぜ。」
「ホントだ!」
デュランが光が溢れている場所を見つけていった。洞窟から太陽の光が当たるところへ。
はいち早く光へと向かった。
「おおー太陽の光が眩しい…!」
暫く太陽の光を見ていなかったせいか、やけに太陽光が目に沁みる。手を翳して大地を見渡し、大きく息を吸う。
遅れてやってきたデュランたちが、と同じように「眩しい」と呟き目を細めた。
「ここまでくればウェンデルはめとはなのさきでち!」
嬉しそうにシャルロットが言うと、四人の顔が明るくなり、そして悲しげになった。
ウェンデルへやってきて、司祭に会ってしまえば五人での旅はおしまい。
実に短いが、それぞれ目標や夢があるのだ。一緒に旅をするわけにはいかない。
それに気づいたシャルロットも、少し浮かない顔。
(一人かぁ…。)
いつだって傍には兄が居て、孤独を感じるときでも、自分が嫌になるときでも一緒に居てくれた。
その兄はもういない。自らが間接的に殺めた。それでも兄の一部は自身の中にある。
そのことを思えばなんとかやっていけるかもしれない。と前向きに考えた。
「…さて!あのね。服と武器を新調したいんだけど…いいかな?」
「ああ、そうだな。じゃあ神殿に行く前に色々買ってこうぜ!」
こうしてウェンデルへの最後の道のりを歩き始めた。
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