わー、ここどこだろ・・・。私はあたりを見回して頬をかく。
先ほど自宅で眠りについたはずなのに、どう見てもここは自宅ではない。
ではどこだ、と聞かれればなんとも答えられない。しいて言えばジャングルのような所。
どうしよう。蚊に刺されたら・・・。、ただいま静かに焦っています。
初めまして、見知らぬ大地
ここにいてもはじまらない、とにかく歩いてみよう!は腰を上げて拳を握る。
怖がってても、寂しがっても、悲しがっても、そんなこと無意味なんだから。
ポジティブ思考な自分に拍手を送りたい気分だったが、は歩き出した。
「それにしても、本当にここは何処なんだろ・・・。」
暫く歩いて、は足を止めた。どれだけ歩いても、人の気配を感じないからだ。
ここまでくると流石に不安になってくる。
「おーーーい!誰かー!!!」
大声で叫ぶが、どれだけだたっても返事はない。
は流石に泣きたくなった。もしかして、誰も居ない世界に居るんじゃないか?
きっと、孤独死してしまうんだ・・・。と、先ほどまでのポジティブさが嘘のようにどんどんと
ネガティブな考えに陥ってしまう。の瞳がうるうると潤み、今にも雫が零れ落ちそうになるそのときだった。
「誰かいんのか?」
弾かれたように振りかえると、そこには形容しがたい髪型をした、可愛らしい男の子が立っていた。
しかも、尻尾が見え隠れする。
だが、孤独に苛まれていたはそんなことを気にすることなく、その男の子のもとへ駆けつけた。
「はい!ここに、います!!」
目を輝かせて、男の子の手をとる。
男の子はびっくりしたように目を見開くが、やがてにかっと笑った。
「オラ、孫悟空ってんだ!おめぇは?」
「私はっていいます!」
孫悟空と名乗る彼は、の知っているドラゴンボールというマンガの主人公によく似ていた。
ちらっとしか見たことないのだが、確かその少年はチチという女の子と結婚するはず。
もしかしたら、この男の子はその"孫悟空"だったりして。と一瞬思ったが、そんなわけない。と首を振る。
「何首ふってんだ?」
「いえいえ。ちょっと、非現実的なことが頭をよぎったから。」
「ところでおめぇ、人間なのか?」
「?ええ、まあ。」
何を言っているんだこの子は、とは首を傾げるが、次の瞬間には飛び跳ねるような出来事が起こった。
「ぎゃぁ!な、な、なに!?何事!?」
「おめぇ胸あんだな!もしかして、女か?」
「もしかしなくても女ですよ!そ、それより離してくださいその手を!」
なんと、悟空は突然何の前触れもなくの胸をぎゅっと鷲づかみした。
突然の出来事には慌てて悟空の手を離そうとするが、一向に離れない。
女だと告げると、びっくりしたように目を丸くして「本当か!?」と叫ぶ。
「オラ女ってのをはじめてみた!うわーこれが女なんか。」
「そうです、私がいかにも女です。だから手を離して!」
「おぉ、すまんすまん。」
もしかして、悟空は男女の区別がつかない・・・?
とんでもない常識知らずに、は唖然とした。確か、ドラゴンボールの主人公”孫悟空”も
常識が酷く欠乏していたはずだ。まさか――――再び非現実的なことがよぎる。
「はっ!ご、悟空君!その尻尾は!?」
「え?普通ついてるもんじゃねぇのか?死んだじっちゃんにはなかったけどな。」
何を仰るのか、この男の子は。
は言葉を失った。駄目だ、もはや非現実的とかそういうことを言っている場合ではない気がする。
明らかに現実離れしている。最後の望みを、次の質問にこめる。
「と、ところで悟空君・・・。」
「なんだ?」
「ここは、何処でしょうかね?えっと、パオズ山・・・?」
「そうだぞ、それがどうした??」
可愛らしく首を傾げて、尻尾を揺らす悟空。
これでほぼ決定したこと。
ここは、きっとドラゴンボールの世界。信じられないけど、そうとしか思えない。
孫悟空と言う名の少年。
パオズ山。
は冷や汗が背中を伝うのを感じた。
どうしよう――――?
アトガキ
ありがち異世界トリップ★
ヒロインはDBをあんまり覚えていません。パラパラッと読んだだけなので
長くなると思いますが、どうぞお付き合い願いますm(__)m