どうせなら濡れたパジャマも乾かしてしまおうと思い、パジャマを乾かし始める。
その様子をじっと見ていた悟空が、「変な服だな」と一言感想を漏らした。




異文化コミュニケーション




「なあなあの話聞かせてくれよ!」

漸くパジャマも乾いてきた所で、悟空が目を輝かせてに言う。
自分の知らない世界を知っているの話が聞きたいのだろう。
は快く頷いて、何処から話そうかな。と思考をめぐらせた。

「私の国では、14歳って言うとまだ義務教育期間なんだよ。」
「ギムキョウイク?なんだそりゃ。食いモンか?」
「違う違う!義務教育って言うのは、何歳までは絶対に勉強しなきゃいけないっていう期間のことだよ。」
「よくわかんねぇけど、もそのギムキョウイクなのか?」
「そうそう。毎日勉強するしかないの。」

大分悟空の国とは文化が違うようだ。
としてはこちらの世界の方が興味あるのだが(当たり前だが)悟空の興味津々の瞳を
見ては、地球について語るしかないだろう。

「ほんっとうに大雑把な所から話せば、私の住んでた日本は、地球ってところにあるの。」
「地球?ここも地球だぞ」
「へ!?ここも地球!?あっちも地球…?うう、でも地球にはパオズ山なんてないし…。」
「パオズ山はあるじゃねぇかよ?」
「尻尾の生えた可愛い少年も居るわけがない…。」
「普通は尻尾が生えてるもんじゃねぇのか?」

複雑すぎる、とは頭を抱える。
だが、異文化に戸惑っている暇なんてない。早くこの環境に適応しなければいけないのだから。

「それから…、虎を食べることはないような…。」
「そうなんか!?じゃあ何食べてんだ?」
「うーん、肉類は豚、鳥、牛とかが主かな。」
「ほへぇー。いっぺんの世界に行ってみてぇなー。」

私は、こっちの世界の方がドキドキワクワクして面白そうだけどなぁ。
と、のほほんと思う。あっちの世界じゃこんなハラハラな事はないだろう。

は帰れんのか?」
「さあ…多分、帰れないと思うな…。でも、もしかしたら明日帰れるかもしれない。」
「よっくわかんねぇなー。でも、もし帰れねぇならずっとオラん家いていいぞ!」

そういって笑う悟空。
だが、本当にわからないのだ。ここへきたように、寝ている間にいつの間にか戻れるかもしれない。
戻れるものなら戻りたいが、そうすれば悟空は再び一人になってしまうだろう。

小さい頃に育ての親を亡くした悟空。
また、悟空の許から人が消える。

どれ程の喪失感、悲しみ、寂しさが交錯するのだろう。
悟空がを必要とする限り、出来る限り傍に居てあげたいと思う。

神様、私は元の世界に戻る定めだとしたら、せめて彼が他の誰かに出逢えてからにしてください。
彼を一人にする事は…と、そこまで考えたところで、悟空から声がかかった。

?どーしたんだ、変な顔してっぞ」
「…なんでもないよ。それより、私の世界の事は後でじっくり話すから、この世界について教えてよ」
「ああ、いいぞ!んーと、んーと。人間は尻尾が生えてるんだぞ!」

…あれ?確か、ブルマと出逢ったときその悟空の常識は間違えってことに気づいたんじゃなかったっけ?
この世界について聞く人間違えたかも。でも、周りに人いないしな、これは仕方ないことなんだろう。
そう言い聞かせて、悟空の話を聞くことに専念する。

「あと、人間には女と男が居るんだぞ。」
「――それは、私の世界でもいえるよ。」

じゃなかったら生命は繁殖できないからね。

「あとあと、じっちゃんのキンタマクラは気持ち良いんだぞ!」
「それはこの世界についての事じゃないような―――」
「それとな、満月の夜はすんげえ怖い怪物がでるんだぜ」
「…へえ?どんな怪物?」
「オラは見たことねぇんだけどよ、じっちゃんもそいつに踏まれてペチャンコになったんだ。」

そんな恐ろしい怪物が住んでるんだ…。そう思うととても怖い。

「悟空、無事でよかったね」
「うん。でもオラ寝てる間に怪物がくるからよー。退治できねぇんだよ」

凄い強運の持ち主だなぁ、と微笑んだ。

「じゃあ、次怪物が出たときは私が悟空の事起こしてあげるね。」
「おお!じゃあ、オラがのこと守るからよ!」

ニカッと笑った悟空が、さらっとはいた言葉。
”オラがの事守るからよ!”―――ドキッと心臓が跳ねた。悟空はこれでも男の子。
口説き文句のような台詞を言われてドキリとしない女の子は居ないだろう。

「ありがと…。期待してるよ?」
「おう!だから、オラの傍から離れるなよ?」

ドキッ、また心臓が跳ねた。
なんでこんなにサラッと胸がときめく言葉が言えるのだろうか。
悟空のじっちゃんの教育の賜物であるのか?ともかく、こんなに素直に育ったのはとても凄いと思う。

「うん、ずっとずっと悟空の傍に居る。」

きっと、ね。
気づけばパジャマが乾いていたので、は袖を通し始めた。















アトガキ
題名に沿ってないと思う人この指とーまれ。
…はい、すみません。ランチ姉さん大好きです(何