「んぅ…。あ、。オッス!」
目を覚ました悟空は、を見るとニカッと笑って挨拶をした。
「おはよー。よく寝れた?」
「うん!オラ、いつもよりよっく寝たみてぇーだ。」
そう言って伸びをすると、大きな欠伸をした。もつられて欠伸をすると、悟空はひょいと
床へジャンプ、そして着地した。
「起きたら隣に誰か居るって、いいな。」
ニシシと笑い、頭の後ろで手を組む。
「おーっし、今日も修行だ!お、そぉだ。もやってみっか?修行、楽しいぞ!」
満面の笑みで提案する悟空。修行…興味がないと言ったら嘘になる。
修行への興味は非常にあるが、どんなハードな内容なのかと正直不安だ。
スパルタ!?悟空の修行
「朝ごはんどうする?昨日は虎だったから今日は魚にするか?」
小首を傾げて問いかけられ、はうーん。と唸る。
修行するなら、おにぎり程度がいいと思うのだが…でも炊飯ジャーらしきものは見当たらない。
やっぱり魚で決定っぽいです。
「じゃあ、魚でお願いします。」
「任しとけ!でっけーの釣ってくるからよ!」
そういってさおも何も持たずにジャンピング。何で釣るのかな?もしや、素手?
でも悟空ならやりかねない。と、苦笑い。悟空が帰ってくる間に滝に行って水でも汲んでこよう。
はそこらへんにあった桶を掴んで、ゆっくり滝へ向かった。
「よっこいせ」
年寄りくさい声を上げて水をくみ上げる。水というものは、意外に重い。
桶を両手でもち、悟空の家へと戻り始めた。
悟空の家が見えてきた。
家の近くでちょこまかと動く影がある。―――言わずもがな、悟空だ。
辺りをきょろきょろと見回して、何か叫んでいる。遠すぎて何を言っているか聞き取れない。
段々と近づいていき、悟空の姿も大分はっきりくっきりしてきたところで、悟空が何を叫んでいたか
やっと聞き取れるようになった。
「ー!どこだよぉ、!ニホンに帰っちまったのか!?」
思わず立ち止まり、え?と声を漏らす。何を必死になっているのかと思ったら…。
ちょっと面白い。と、クス。と笑ってしまった。こうなったら、背後からソローリ忍び寄ってワッ!といきますか。
は出来るだけ足音を立てずに、ソロリ、ソロリ、悟空の背後へと近寄る。
よしよし、まだ気づいてない。にしし、と怪しい笑みを浮かべる。
残り10M…残り8M…5M…3M…
確実に距離を縮める。まだ悟空は気づいていない。後もう少し…
「おーい!ってば!」
「ワッ!」
「わわっ!…?なんか??」
最初驚いたように飛び跳ねたが、聞いたことある声にバッと振り返り、まじまじと見つめる。
そして、の姿を認めると満面の笑みで、身軽な悟空はの胸に飛び込んだ。
「わーい!!!帰ってなかったんだな、どこいってたんだよー!」
おかげで桶にはいった水が多少零れたが、そんなの悟空の愛らしさで許せてしまう。
胸に顔を摺り寄せている悟空だが、こんなこと他の誰かがやったらもうこの世に居ないだろう。
悟空だからこそ許されること、なのである。
「ごめんね悟空、修行のとき水飲むと思って…くんできたの。」
「本当か!?わーい!、ありがとうな!」
目を輝かせてお礼を言う悟空に、は、”ニヤ”という感じの笑顔になった。
++
そんなこんなで、修行が始まった。
悟空がから少しはなれたところにいて、屈伸したりして準備を万端にしている。
も悟空に倣い、よく体育の授業でやった体ほぐしの運動をする。
「んじゃー手始めに、。オラに攻撃を仕掛けてみろよ!」
「ええ!?ど、どうすれば…?」
「なんでもいいから、早く早く!」
「ええーーー!?そ、それじゃあ…!」
と、は悟空に向かって駆け出した。びゅううう、と耳元で風の音がする。
そのままの勢いで、悟空に捨て身のタックル。ぎゅっと目を瞑る。ごめん悟空!
だがいつまでたっても何にも当たらない。
おかしい、と思い始めた頃には重力に従って、思いっきり地面にビターン!と倒れていた。
「―――ッ痛…。」
肩に鈍痛が、まるで脈打つようにジンジンと響き渡った。非常に痛い。
まだまだ痛みの引かない肩をさすり、標的であった悟空を探す。
「いったそうだなぁ…大丈夫け?」
目をパチパチさせる悟空に、は苦笑いを返した。