皆が罰の紋章を使うな、と僕に念を押してくる。
だけど、使わなければいけない。使わなければ皆が死んでしまうんだ。
とは言わないで、「うん」とだけ返事を返す。
皆優しい。僕のことを心配してくれている、それだけでうれしかった。
いつまでも皆幸せに暮らせることを、僕は願うんだ。



君を守るためなら僕はいつだって



「おはよー」

今日も優しく揺すって起こす
僕は本当は起きてるけど、寝ているふりを決め込む。
するとは、もうっ。と言うと、さっきよりも強く揺すり始める。
それでも僕はまだ起きない。

何故?と問われれば、勿論、の可愛さを堪能していたいからさ。

「どうしよ・・・?おーい、ってばぁ」

頑張って僕を起こそうとする。可愛いなぁ…。
頑張るの顔も見たいけど、ここで目を開けたらバレてしまう。
僕は目を開きたいのをぐっとこらえた。

!ほら、朝だぞ!ご飯食べようよ!」

本格的に起こしにかかったが、僕に顔を近付けて、叫ぶ。
よし―――――

「きゃっ!?」

次の瞬間僕は目を開くと同時にをベッドに引きずり込む。
突然の事に吃驚したらしいは、されるがままにベッドに乗っかった。

「おはよう

モーニングキスを彼女の唇に施すと、はふくれっつらで「うん。」とだけ答えた。

「起きてたんだね、ズルいよ」
「だって、面白いじゃないか」
「面白いじゃないわよ!これから二度と起こしてあげないから!」

ぶすーっ。と顔を顰めて言うに、僕は微笑みだけを返した。
どうせ寝れば忘れると知っているからだ。

「さ、ご飯食べにいこ・・・」
「――――も少し一緒にいようよ」

早くもベッドからでようとするを僕がきつく抱きしめた。
するとは、仕方ないなぁ。と言いながら、おはよう。と僕にキスをする。

「ねえ、身体大丈夫?」
「――――え?」
「ほら、昨日・・・」

使ったでしょ?と、敢えて何を使ったかは言わずに問うてくる。
そんな気遣いに僕は嬉しくなった。

「ああ、大丈夫だよ。心配しないで?」

笑顔で言うが、それでもの顔は晴れない。君は優しい人だ。
よしよし、と頭を撫でてあやす。

「大丈夫、大丈夫。僕は君の前からいなくなったりしないから、ね?」
「本当?」
「うん。僕、嘘ついたことあるかい?」
「さっき寝たふりされた…」
「ははっ、それは嘘とは違うだろ?」

今までに嘘をついたことなんてなかった。
だけど今、決定的な嘘をついた。

僕の命は、恐らくもう長くないだろう。
クールーク軍との最終決戦の時、すべての力を解き放ってでも勝つつもりだ。
勝てばいいんだ、僕の命なんて関係ない。僕一人の犠牲で平和が訪れるんだ、それって凄いじゃない?
でも、こんなことは彼女に言えなくて、言ったら力ずくでも止められるだろうから。

ごめんね、嘘ついてごめんね。でも、僕は最善を尽くすから。

みんなの平和よりも、君を守りたい。君の幸せは、みんなの幸せのはず。
だから、僕が君を守るための盾となり、そしてこの地を救うから。

―――――でもね。僕が死んだら、一筋でも、一滴でもいいから涙を流して欲しいな。
涙の後は、いつもみたいに笑って欲しい。僕の事は、時々思い出してくれれば嬉しい。
僕はいつでも君を見守っているからさ。そして、君を守り抜くから。

君を守るためならいつだってこの身を捧げよう