もしも天国にいけるのなら





最近、肌寒くなってきた。夏も終わりなのだと思うと、少しだけ寂しい。少しだけだけど。
寝る前は足を出して寝ていたはずが、すっぽり被っている。頬にひんやりとした空気がまとわりついて、布団から
でたくなくなってくる。頭まで布団を被って、胎児のように丸まった。

(日が完全に出るまで出たくないです…。)

暫くすればぽかぽかとしてきて、南中になれば暑くもなるのだから、今はこのままでいたい。
だが、その思いをぶち壊すように、襖が勢いよく開く音が聞こえてきた。

!!」
(…政宗様?)

この声は、布団越しだから多少くぐもって聞こえるが、紛れもなく政宗の声だ。
朝からこの人はどうしたと言うのだ、は顔を布団から出して情けない声で返事をした。

「ふぁい。」
「おお、やっぱりいたか!」
「どうかしたんですか?」

のろのろと上体を起こして、目を擦りつつ尋ねる。政宗は寝巻きを羽織っただけの格好だった。
胸元なんて大胆に肌蹴ている。寒くないのかしら?それがが一番初めに思ったことだ。
妙に色っぽい。自然と視線が胸元に行ってしまう。その様子を見て政宗が「なんだなんだ、スケベだなぁ。」
と面白そうに笑った。

「そんなんじゃありません!怒りますよ!」
「Oh、Sorry。そんなつもりじゃないんだぜ。それより、一緒に寝ようぜ。」
「へっ!?」
「やましい意味じゃねえぜ。ほら、今日寒いだろ?一緒に寝れば寒くない!って言うスタンスで」

胸元オープンのくせに、今日寒いだろ?はいまいち信憑性にかける。
でも確かに、一緒に寝れば暖かくなるだろう。は少し考えるそぶりを見せて、やがてうん。と頷いた。

「そうときまりゃー、邪魔するぜ!」

政宗がの布団にもぐりこんできた。今まで外気に触れていた政宗の寝巻きは冷たくて、触れ合った瞬間
寒さが伝わってきた。

「ふーあったけえな。の温もりが伝わってくる。」

間近で見る政宗はやっぱりカッコイイ。鼻筋はスラッと通っているし、釣り目がちな目も魅力的だし、
曝け出された鎖骨は色っぽい。妖艶な笑みを浮かべている政宗を見て、心拍数が一気に上がった。

「どうしたHoney。顔、赤いぜ?」
「な、なんでもないですよ!」

政宗は面白そうに笑うと、ふとの胸元に目がいった。
横たわったために、胸がイヤラシイ程寄せられている。目のやり場に困るとはこういうことだ。
慌てて視線をそらして、の顔を見ると、不思議な顔をしてコチラを見ている。

「ったく、俺のKittyは魅力満点だな。」
「え??」
「なんでもねえよ。」

そういって政宗はの顔を自らの胸に寄せた。ふんわりと香ってくる政宗のいい香り。

「あのよ、。」
「はい?」
「もしも、HEVEN…天国にいけるのなら、どうする?」
「どうする…ですか。」

天国なんてものがあるのなら、今すぐいってみたいものだ。血生臭い、下克上の世の中。
生まれ変われるのなら、争いのない平和な世界に生まれたい。

「俺さ、生まれ変わってるとしてだ、を探し出すこと…できるか心配なんだけどよ。」

頭に回した手に力が込められる、

「きっと探し出すからな世の中広いが、もしザビー教信者になってても探し出すからな。」
「…はい。」

心配されなくても、ザビー教信者にはならないが、政宗の言葉は胸に心に暖かく響いていった。
は、それなら死んでも平気です。と微笑んだ。

も俺のこと、探してくれるか?」
「はい、勿論です。」
「そしたら俺たち、再びめぐり合えるな。愛してるぜ、これまでも、これからも。生まれ変わっても。」
「はい。私もです。政宗様。」

政宗が顔を近づけて軽い口付けをして、微笑みあった。