何て呼んで欲しい?
愛しの王子が、今まさに私の目の前を通りすぎようとしています。
あ、王子っていうのは白馬に乗った王子様!とかの意味合いではなく、本当の王子と言う意味です。
銀髪に赤い目の王子はファレナ女王国の、第二王子なんです。
王子と双子で、容姿だけ見るとどっちがどっちかわかんないんですけど、服装が、王子は青っぽいから
わかるんです。まあ、私は服がおんなじでも見分けられますよ。えっへん!だって王子と王子は
違う所が沢山ありますもの。たとえば、歩き方とか、声のトーンとか、笑顔とか、あと…
って、大分語ってしまいました。語ってるうちに、王子は通り過ぎてしまいました。
「王子!!」
「ん…?あ、やあルセリナ!」
思い切って呼び止めてしまいました。すると、王子は立ち止まり、振り返り、そして笑顔で挨拶
してくださいました。う、嬉しいです…!私は思わず涙が出てきそうになりました。
ですが呼び止めたのはいいものの、特に言いたいことなんてなくて(あえて言うなら好きです。といいたいです。)
少し考えます。
「あ、あ〜あの、お元気ですか?」
「この通り、元気だぜ。そういうルセリナは、元気か?」
「はっ、はい!勿論です!!」
王子にも会えましたし!
私の返事を聞くと、王子はそっか。と頷いて手をヒラヒラと振って「それじゃあな」と立ち去ろうとします。
慌てて私は、王子と話したいことを、脳をフル回転させて思い起こします。
「王子!!!」
「え、え、どうしたルセリナ?」
「あの、王子は、私になんて呼んでもらいたいですか!?」
咄嗟にでてきた事がこれでした。
これは常日頃思っているのですが、私としては王子のことを、と呼びたいんです…!
その方が、親しい感じがしますでしょ?でも、身分というものが違うんで、駄目ですけどね。
…きっと王子は、「そのままでいいよ。」と微笑むのでしょう。判っています。
「本当のことを言ってもいいの?」
「はい、なんなりと。」
首を傾げて尋ねた王子が、不謹慎ですがとても可愛くて…!
私は思わず微笑みそうになったんですが、何とか耐えぬきました。
「俺としては、””って呼んで欲しいな〜なんて、思ってたり」
そういって照れたように笑った王子。こみ上げてくる愛しさ。胸がきゅーんとなりました。
そして王子は「駄目かな〜?なんか親しい感じでいいかなって思うんだけど。」と付け足されました。
大体考えていることは一緒のようです。嬉しいです…!
「本当にいいのですか?」
「勿論だぜ。」
「じゃあ、とお呼びしても良いですか?」
「おう、いつでも俺の名前を呼んでくれ!」
いつでも俺の名前を呼んでくれ?よくわかりませんが、とにかく今、嬉しいという感情しかありません。
神様、ありがとうございます!ほんとうに感謝しています!
「困ったとき俺の名前呼んでくれたらさ、きっとルセリナの所に駆けつけるからさ。」
「ほ、本当ですか!」
「マジマジ、任せろってー。」
冗談っぽく笑う王子…いえ、がとても輝いていて、思わず私は顔が赤くなりました。
大好きです!!!