僕と彼女の一定距離




いつからでしょうか、私がに対して不思議な感情を抱くようになったのは…。
は、ライバル以外なんでもないのに…。なんだか、が他の男性と話してるところを見ると
もやもやするんです。喋った後はなんだか動悸が激しいですし…。それに、気づけばのことばかり考えています。

「はあ…」

心なしかため息を多くなった気がします。
のことを考えると、なんだか出てくるんです。不思議です…。
ライバルだからでしょうか。ああ、よくわからない!
私はもやもやを追い払うべく、本を読むことにしました。確か、この時間帯はまだ図書室がやっているはず。

図書室の扉を開けると、中は静かでした。もう閉館間近だから当たり前ですね。
特に読みたい本もなかったので、オススメコーナーを見ることにしました。
あ…れ?オススメコーナーに見慣れたジャージ姿があります。サントハイム城で、ジャージ姿なんて…
あの人以外いません。私の心臓が早鐘を打ち始めました。

「ん…。あれ〜?クリフトだ。」
「……??がなんでここに??」

やはりでした。うわあ〜なんだか緊張します…!

「まあ、失礼ね!まるで私がここに居ちゃいけないみたいじゃない。」

頬を膨らませて非難するに、私は思わず顔が赤くなりました。
だ、だってが…か、か、か、か…可愛いんですよ…!こ、これって浮気ですかね!?姫!!ごめんなさい!!

「そ、そういうわけじゃないですよ」
「ふ〜ん、どうかしら。」
「本当です!!」

なんだか悔しくて、思わず声を荒げてしまいました。

「そ、そんなにムキにならなくても…。そういえば、本借りに来たの?」
「はい。気を紛らすために。なんだか気づけばのことばかり考えてい…て!?」

し、しまった!!!!!!!!
思わず本当のことを言ってしまった!!!!
大ピンチです!ど、どうしましょう!!
の顔をうかがうと、きょとんとしています。ああ、どうしましょう!!!!

「…まったく、そんなに私のことが好きなの?困っちゃうわあ〜」
「へ!?!?!?」

わわわわわたわた私がのことを…す…すき!?
そ、そんなことあるわけ!!あるわけ……あるわけ………?

「…ちょ、ちょっとクリフト?冗談だってば!そんな思いつめた顔しないでよ。」

の声にハッとしました。じょ、冗談だったんですか…。
私は、はあ、と息をついて胸をなでおろしました。冗談にしてはタチが悪すぎます。

、そんなに私をからかって楽しいのですか??」
「楽しい!クリフトってすぐ騙されるんだもん。」

愉快そうに笑うを見て、なんだ私も嬉しくなりました。

「さて、何読もうかしら。」

が本選びに集中し始めました。私も本を選ぼうと、本棚を見ますが、どうにもこうにも隣のが気になって
仕方ありません。ちらっと隣を見ると、真剣な顔で本を選ぶ。思わず見とれてしまいます。
…黙っていれば可愛いのに。ああ、黙ってなくても可愛いですが。……って、また私はまた変なことを!!

「?どうかした??」
「へ!?あ、いや〜別になんでもないですよ!!」

横顔を盗み見しているのをバレてしまいました。私はぎこちなく言い訳しながら、本棚に目を移します。
うう…ですが集中できません。どうしてものことが気になってしまいます。

「あ〜私これにするわ!」

手に取った本は…!【アリーナ姫大全】!?く、悔しい!そんなものがあったなんて…。
の顔を見れば、優越感に浸った顔をしています。

「つ、次私が借りますから!」
「勿論!ふふっ、今回は私の勝ちね。それじゃあ、また明日。おやすみ。」
「返却するとき声かけてくださいね。おやすみなさい。」

負けたはずなのに、何でか悔しくないです。それどころか、なんだか嬉しい。
の読んだ本を読むのも…悪くないかもしれません。返却の際はついていって、返却手続きの
終えたところでから手渡ししてもらいましょう。
貸し出しカウンターに向かったの後姿を見て、私はそう決めました。


さあ、私も適当に本を借りましょうか。
再び本棚に目を向けますと、興味を引く文字が飛び込んできました。

「お似合いな男女ランキング…」

その本を手に取り、一枚目を捲ってみました。なんだか意味もなくドキドキします。
もしかしたら私との名前が…って、なんでなんですか!?わ、私にはアリーナ姫と言う
心に決めた人が…って、ええ!?

【お似合いな男女ランキング、堂々の一位は…神官クリフトとサントハイム騎士団!】

わ、わた、わたしと!?

【・姫様命な二人ですけど、競い合ってる姿はなんだかとってもお似合いです!
・なんだかんだ一緒にいることの多い二人ですよね、実はデキてたりして??
・クリフトさんって何だかさんのこと好きそう。】

な、なんてことでしょう!私とが一位です!!
収まりかけていた心拍数が、また上昇してきました。顔が赤くなっていくのを感じます…。
ああ、なんだか頭が痛くなってきた。血が巡りすぎてるんでしょうか…。
がこれを見たらなんていうんでしょうか?迷惑がるでしょうか?それとも…。
少なくとも私は嬉しいです。なんででしょう?もしかして、私は…のことを…。
好き、なのかもしれません。